認知症の初期症状?
歳をとると、物忘れをしたり、同じ話を何度もしたりするようになる自分に気がつくことがあります。「人の名前が思い出せない」「どこかにしまい忘れた」「何を探しに来たか忘れた」など、
一時的な「物忘れ」「度忘れ」は、初老期(40〜50代)に特徴的な「生理的な老化」です。いわゆる「認知症」の症状の「記憶障害」とは異なります。
物忘れする理由の多くは、「注意力の低下」によるもので、「記憶しようと意識しなかったから覚えられなかった」だけです。若い頃は、脳の注意カ・集中力は高く、いちいち
意識しなくとも簡単に覚えられます。ところが、歳をとると注意カ・集中力は低下し、以前なら簡単に覚えていたことが、覚えられなくなってしまいます。一般的に記憶力は
10代後半から20代後半に掛けてにピークがきます。言い換えれば、それ以降は老化の一途をたどっているわけです。このような「記憶力の低下」は「単なる物忘れ」で、
だれにでも起こる正常な脳の働きなんです。
これに対して「認知症による物忘れ」は、経験したことをそっくり丸ごと忘れてしまうようなことをいいます。例えば電話の伝言の内容を忘れるだけではなく、
電話があったこと自体を忘れたり、食べたものを忘れるのではなく、食事したこと自体を忘れて「ご飯はまだ?」などというのは、明らかに認知症による記憶障害と言えます。
つまり、内容を忘れるのは単なる「ど忘れで、エピソ—ドや出来事そのものを忘れるのは「認知症」ということになります。
原因からみた2つの認知症
認知症は、脳血管性認知症とアルツハイマ—型認知症の2つに大別されます。前者は脳卒中を起こした後に、後者はアルツハイマ—病の結果として発症します。ほかにも脳血管性とアルツハイマ—の混合したタイプ(混合型)の痴呆症や初老期うが原因の認知症(仮性認知症)などがあります。
そのほか、身体の病気からも認知症の症状があらわれることがあり、もとの病気の治療をすれば治る認知症もあるので、ます原因を突き止めることが肝心です。
脳血管性認知症は脳の血管の病気(脳卒中)
脳梗塞や脳出血を基礎疾患として起きます。脳の血管の病気は詰まるか切れるかの2つだが、主として動脈硬化が原因となることが多く、発症すると酸素や栄養素が行きわたらず
脳の神経細胞は死んでしまったり、ひどいダメージをこうむったりします。障害の場所によって当然認知症の症状は異なるが、一般的にはその範囲が広いほど認知症の程度はひどくなります。
アルツハイマ—型認知症
脳(主として海馬)の神経細胞が障害を受け、結果として脳の萎縮が進み、認知症があらわれる病気です。社会の高齢化が進むにつれてアルツハイマー型認知症の人が急増しているのが現状です。80歳以上の認知症の大半がアルツハイマー病によるものと言われています。
その特徴は進行性認知症と人格変化です。初期の段階から、記銘力、記憶力、判断力、理解力などが低下し、しだいに神経細胞の破壊が進んで、末期には感情や人格そのものに障害をきたし、まったく人間らしい生活ができなくなってしまいます。
認知症の予防
脳血管性の認知症は動脈硬化がべ—スにあり、脳の血管の病気は、その気になれば進行を止めることが可能です。つまり、動脈硬化を防ぐ食事を中心とした生活習慣を心がけることが予防につながります。
- 魚をたくさん食べよう(特に青背の魚がいい)
- 野菜をたくさん食べよう(特に緑黄色野菜がいい)
- 塩・砂糖は控えめ、薄味に慣れる
- 満腹より腹八分(頭すっきりお腹すっきり)
- お茶の時間を大切に
- 運動と昼寝を日課に
- 新しいことに挑戦
- 酒は適量、タバコは禁煙
- 自分に適したストレス解消
- 社内や地域の検診に積極的に参加する
活動的なライフスタイル
アルツハイマーや脳血管性の認知症でなくても「注意力の低下」によって認知症は生じます。生活習慣やライフスタイルによって「認知症」の症状があらわれることがあります。例えば、
- 漫然とテレビを見て日々を過ごす
- 言われたことはやるが自分からは積極的に動かない
- 趣味もなく他人と会話することも極端に少ない
このような刺激のない単調な生活を続けていると、脳への刺激が乏しくなり、神経細胞自体も神経細胞のネットワークも衰えるばかりです。非活動的な生活は脳にも影響し、
月日や曜日など時間の感覚があいまいになり、聞かれてもすぐに答えられずに、認知症と間違われることがあります。活動的な生活スタイルを取り入れることによって、
常に脳への適度な刺激を与えることが大切です。