人間には、地球を2・5周する河が流れてる
私たちのカラダには、赤い血液が駆けめぐっています。誰でも知っている当たり前のことですが、その流れの量や距離について考えたことがあるでしょうか。もし、カラダが大地だとしたら、血液は大地を潤す水であり、血管はそれを運ぶ河です。驚くことに人間のカラダには、地球上のどの河よりも長い偉大な河が存在しています。その河の名は、血管。血管を流れる血液の量は、カラダの大きさによって違ってきます。通常は体重1㎏あたり男性80㎖、女性75㎖で計算されます。そのため、体重60㎏の男性なら4・8ℓ、女性は4・5ℓくらいの量があると考えられます。
血管には動脈、静脈、末梢血管(毛細血管)などいくつかの種類があり、それらすべてをつなぎ合わせると10万㎞にも達すると言われています。10万㎞とは、地球の外周を2周半する距離に相当します。私たちは、そんな想像を絶するような流れを、一人ひとりのカラダの中に持っているのです。
「サラサラ血液」を目指そう
最近、サラサラの血液がいいとはよく言われますが、血液の場合サラサラとはどういうことを意味するのでしょうか。血液は液体成分と固形成分(赤血球/白血球/血小板)からできており、これらが固まったりひっかかったりせずにスムーズに流れる様子を、一般的には「サラサラ」と表現するようです。この「サラサラ」状態を保つには、いくつかの要素について知っておく必要があります。
血液の固形成分で一番数が多いのは赤血球です。血液の中で赤血球が占める割合をヘマトクリット値と呼び、この値が高くなると血液は流れにくくなります。しかし、ヘマトクリット値が低すぎると、貧血状態となりカラダの働きに支障が出てしまいます。ヘマトクリット値だけからみると、サラサラしていればよいとは一概には言えないのです。
理想はあんドーナツ
血液のサラサラ度には、固形成分の中でも数が多い赤血球が大きく影響しています。赤血球は、真ん中がちょっと凹へこんだ円盤状をしていて、あんドーナツみたいなイメージです。なぜ、こんな形なのかと言えば、赤血球は酸素を運ぶのが仕事だから、その効率を高めるためにこの形なのだとされています。また、一番細い血管の内径は約7㎛(㎛は1㎜の1000分の1)で、ちょうど赤血球の直径とほぼ等しくなります。そのため、赤血球は狭苦しいところをカラダをよじるようにして進まなければならないのですが、そういうときに円盤状をしていると都合がいいようです。
汗をかきすぎて水分が不足したりすると、血液の浸透圧が高まり、赤血球の中から水分が抜けて金平糖とうのような形になってしまうことがあります。このような状態だと、赤血球のスムーズな動きが阻害されてしまうことになります。特に高齢者は、暑さをあまり感じないようになったりする場合があるため、つい水分補給を忘れがちになることがあります。このような場合には、赤血球の動きが悪くなって、血管を詰まらせる原因にもなるので注意が必要です。